婚活漫画が描く中高年の“厳しい現実”。作者が語る結婚相談所の実像
婚活の“やらかし”あるあるを描いた漫画が大反響を呼んでいます。52歳男性が20代女性を希望するエピソードなどを通じて、作者はマッチングアプリと結婚相談所の違いや、老後・介護を見据える中高年ならではの婚活の現実を描いていると語りました。編集部が、この作品が投げかける問いをマッチングアプリ利用者の視点から読み解きます。
何が起きたか
結婚相談所を舞台にした婚活漫画が大きな反響を集めており、作者への取材記事が公開されました。記事によると、作品には個性の強い婚活者たちが登場し、それぞれが婚活の異なる側面を映し出す役割を担っているといいます。たとえば、年収一千万円のイケメン年下男性を希望する女性キャラクターは、マッチングアプリでの成功体験から「自分は高収入や年下とも十分に釣り合う」と思い込んだまま相談所を訪れる人物として描かれていると伝えられています。作者は、この人物を通じてマッチングアプリと結婚相談所の仕組みや目的の違いを説明する狙いがあったと語っています。相談所は費用も高く利用のハードルも低くないため、なぜアプリではなく相談所を選ぶのかという特徴を物語の序盤で示したかったとのことです。
また、当初は20代の女性を希望する52歳の男性キャラクターについては、希望相手の問題だけでなく、中高年ならではの婚活を描くために生まれた存在だと説明されています。20代や30代とは違い、中高年になると老後や親の介護など考えなければならない現実が増え、それは婚活だけでなく人生そのものに関わるテーマになる。結婚したい理由も若い世代とは変わってくる——そうしたその年代特有の悩みを描く役割を担わせていると語られています。
さらに、人気があるのに自信を持てないタイプの女性キャラクターは、「応援できる存在」として、また相談所ならではの「仮交際」という仕組みを描くために設定されたとされています。仮交際はお見合いのあと「もう少し会ってみたい」と思った相手と進む段階で、基本的には複数人と同時並行で進められる点が普通の恋愛と大きく異なります。人気のある人ほど申し込みが多い反面、誰を選べばよいか分からなくなりやすい。作中では相談所側の人物が「恋人を決める段階ではなく、もう少し話してみる相手を選ぶ段階」と説明することで、彼女の考え方が少しずつ変わっていく様子が描かれていると伝えられています。
マッチングアプリ利用者への影響
この作品が投げかけるテーマは、いままさにマッチングアプリを使っている人にとっても他人事ではないと考えられます。まず押さえておきたいのは、アプリと結婚相談所は同じ「婚活サービス」でも仕組みも目的も大きく異なるという点です。アプリは手軽に多くの相手と出会える一方、相手の年収や独身であることの裏付けは基本的に自己申告に委ねられます。対して相談所は入会時に独身証明や収入証明などの書類提出を求められることが多く、その分だけ費用も手間もかかります。アプリでの「モテた」という体験が、そのまま相談所や婚活市場全体での立ち位置を保証するわけではない——作中の女性キャラクターが示すこのギャップは、多くの利用者が陥りやすい思い込みだと言えるでしょう。
とりわけ年齢を重ねてからの婚活では、この認識のずれが大きな壁になりがちです。編集部としては、希望条件を「年下・高収入・容姿」といった表面的なスペックだけで固めてしまうと、出会いの入口そのものが極端に狭くなってしまうと考えます。52歳の男性キャラクターのように、年齢差の大きい相手を望むケースは現実の婚活でも珍しくありませんが、相手にも希望や事情がある以上、双方の条件が噛み合わなければマッチングは成立しません。老後の生活設計や親の介護といった、若い世代が直面しにくい現実的な課題を見据えたうえで、何を優先し何を譲れるのかを整理しておくことが、中高年の婚活では特に重要になると考えられます。
「仮交際」に象徴される“選択肢が多いからこそ決められない”というジレンマも、アプリ利用者に通じるものがあります。マッチング数が増えるほど、目の前の相手を吟味しきれないまま次の候補へ目移りし、結局誰とも深い関係に進めない——そんな状態は、アプリのやり取りでもよく起こります。編集部としては、最初から「この人が運命の相手か」と結論を急ぐのではなく、まずは会話を重ねる相手を選ぶという発想に切り替えることが、機会を逃さないための一つの現実的な姿勢になると考えます。
編集部の見方
今回の作者インタビューが興味深いのは、婚活の“やらかし”を単なる笑い話やあおりで消費するのではなく、それぞれの登場人物に「なぜそうなってしまうのか」という背景を持たせている点です。マッチングアプリでの成功が過剰な自信につながる構造も、中高年が抱える老後や介護への不安も、突き放して眺めれば「痛い人」で片づけられてしまいますが、その内側には誰もが陥りうる心理や、その年代ならではの切実な事情があります。作中で示される
という視点は、条件表や成功法則だけでは割り切れない婚活の本質を突いていると編集部は受け止めています。「正解」がない婚活は、本当に苦しい
マッチングアプリを入口に婚活を進める人が増えるなかで、こうした作品が広く読まれていること自体、多くの人が同じ迷いや息苦しさを抱えている証だとも考えられます。大切なのは、他人の“やらかし”を笑うことではなく、自分の希望条件や思い込みを一度立ち止まって点検してみることではないでしょうか。アプリでも相談所でも、相手は数字やスペックの束ではなく、こちらと同じように悩みや希望を抱えた一人の人間です。その当たり前を思い出させてくれる点に、この漫画が支持される理由があると編集部は考えます。
婚活に「正解」がないからこそ、自分にとって何が本当に大事なのかを言葉にしておくことが、遠回りに見えて最短の近道になるのかもしれません。年齢や過去の成功体験に縛られず、目の前の相手と丁寧に向き合う姿勢を大切にしたいものです。
詳しくは出典: Yahoo!ニュース(配信)の記事をご確認ください。